疥癬は、ヒゼンダニという非常に小さなダニが皮膚に寄生することで起こる感染症です。
「そのうち自然に治るのでは?」と考えて放置してしまう方もいるかもしれません。
しかし、疥癬は原因となるヒゼンダニへの治療が必要な病気です。
放置するとかゆみや皮膚症状が続くだけでなく、家族や周囲の人へ感染が広がる可能性もあります。
日本皮膚科学会の疥癬診療ガイドラインでも、ヒゼンダニを退治することが疥癬の治療につながるとされています。
そこで今回は、疥癬を放置した場合に考えられるリスクや自然治癒の可能性・治療に使われる薬・治療するときの注意点について解説します。
疥癬を放置するとどうなる?

疥癬が疑われる状態を放置すると、症状が長引いたり、身近な人へ感染が広がったりする可能性があります。
とくに注意したいのは、次の3つです。
・家族や周囲の人間に感染する可能性がある
・感染が広がると治療や対策の負担が増える
それぞれ詳しく見ていきましょう。
かゆみや皮膚症状が続く
疥癬は、ヒゼンダニが人の皮膚に寄生することによって起こります。
原因となるヒゼンダニに対する治療を行わなければ、かゆみや発疹などの皮膚症状が続く可能性があります。
かゆみ止めで一時的に症状が軽く感じられたとしても、ヒゼンダニそのものを退治できていなければ、疥癬が治ったとはいえません。
また疥癬を湿疹と勘違いして適切でない薬を使用すると、治療が遅れることもあります。
かゆみが続いているだけだからと放置せず、疥癬が疑われる場合は医療機関で診断を受けることが大切です。
家族や周囲の人間に感染する可能性がある
疥癬は人から人へ感染する病気です。
そのため、自分だけの問題と考えて放置すると、同居している家族や接触の多い方などへ感染が広がる可能性があります。
日本皮膚科学会のガイドラインでも、患者と直接接触する方へ広がる場合があるため、同居家族や接触者などについても早期の確認が重要とされています。
とくに家族のような日常的に接触する方がいる場合は、自分だけ治療すれば終わりとは限りません。
治った後に再び感染するケースもあるため、周囲の方に症状がないか確認することも重要です。
感染が広がると治療や対策の負担が増える
感染する方が増えれば、その分だけ診断・治療・感染対策が必要になります。
たとえば同居する家族へ感染した場合、自分の治療だけではなく、家族についても症状の有無を確認しなければなりません。
また治療後に再びヒゼンダニへ感染すれば、再感染なのか治療が不十分だったのかを確認する必要も出てきます。
疥癬は、早い段階で適切な診断と治療につなげることが重要です。
少し様子を見ようと長期間放置するより、疑わしい症状がある場合は早めに皮膚科へ相談しましょう。
疥癬は自然治癒しない?放置せず治療した方がいい理由

疥癬は、自然に治ることを期待して放置するのではなく、原因となるヒゼンダニに対する治療を行うことが基本です。
疥癬は、単なる乾燥肌や一時的な湿疹ではありません。
皮膚にヒゼンダニが寄生することで起こるため、治療ではヒゼンダニを退治する薬が使用されます。
日本皮膚科学会も、ヒゼンダニを退治することで疥癬が治癒すると説明しています。
また放置している間にも、周囲へ感染する可能性があります。
そのため…
・家族にも似た症状が出ている
・疥癬の患者と接触した可能性がある
・疥癬かもしれないと不安を感じている
といった場合には、自己判断で放置するのではなく診断を受けることが大切です。
疥癬は適切な治療を行えば、治癒を目指せる病気です。
自然治癒を待つより、原因に合わせた治療を行うことが早期改善につながります。
疥癬の治療には飲み薬と塗り薬が使われる

疥癬の治療では、ヒゼンダニを退治するための薬が使用されます。
日本国内で代表的な治療薬として挙げられるのが、飲み薬のイベルメクチンと塗り薬のフェノトリンです。
主な違いは、以下のとおりです。
| 種類 | 主な薬 | 使用方法 |
|---|---|---|
| 飲み薬 | イベルメクチン | 決められた量を服用する |
| 塗り薬 | フェノトリン | 指示された範囲の皮膚へ塗布する |
どちらを使用するかは、年齢・体重・疥癬の状態などによって異なります。
とくにイベルメクチンは体重によって投与量が変わる薬であるため、飲み薬の方が簡単そうといった理由だけで自己判断して使用するのは避けましょう。
イベルメクチンそのものの入手方法について詳しく知りたい方は、以下の記事で解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
疥癬の治療で薬を使うときの注意点

疥癬は薬を使用すれば、必ず一度で治るとは限りません。
治療薬には決められた使い方があり、患者の年齢・体重・治療後の状態などによって対応も異なります。
とくに飲み薬を使用する場合は、自己判断で服用量や回数を変更しないことが重要です。
自己判断で服用量を増やさない
「早く治したいから多く飲む」といった使い方は避けてください。
イベルメクチンは、体重をもとに投与量が決められる薬です。
多く飲めば早く治るわけではありません。
薬は決められた用法・用量を守って使用しましょう。
年齢や体重などによって使用できない場合がある
疥癬の治療薬は、誰でも同じように使用できるわけではありません。
とくにイベルメクチンについては、体重を考慮して使用する必要があります。
そのため家族に処方された薬が余っている場合でも、自分の判断で服用してはいけません。
年齢や体重だけではなく、体の状態や他に使用している薬も含めて判断する必要があります。
症状が残っていても自己判断で追加服用しない
疥癬の治療後も、すぐにすべての症状が消えるとは限りません。
治療によってヒゼンダニがいなくなったあとも、皮膚症状やかゆみが残るケースがあります。
そのため、まだかゆいから薬が効いていないと自己判断して、すぐに薬を追加するのは避けましょう。
イベルメクチンについても、経過によって再投与が検討される場合がありますが、必要性は診察結果をもとに判断されます。
症状が残っているからといって、自己判断で服用回数を増やさないようにしてください。
疥癬の治療に関するよくある質問

- Q疥癬は薬を使わなくても自然に治りますか?
- A
疥癬は、自然治癒を期待して放置することはおすすめできません。
原因となるヒゼンダニを退治するための治療が必要です。
また、放置している間に家族や周囲へ感染する可能性もあるため、疥癬が疑われる場合は早めに診断を受けましょう。
- Q疥癬はどのくらいで治りますか?
- A
治療期間には個人差があるため、「○日で必ず治る」とは断定できません。
治療後もかゆみや皮膚症状が残ることがあり、症状が残っているだけで治療が失敗したとは限りません。
ヒゼンダニが検出されるか、新しい疥癬特有の皮疹が出ているかなどを確認しながら治癒を判断します。
- Q疥癬は家族も一緒に治療した方がいいですか?
- A
必ず全員が同じ薬を使用するという意味ではありませんが、同居している家族などに感染している可能性がないか確認することは重要です。
疥癬は人から人へ感染するため、自分だけ治療しても身近な方が感染していれば再感染につながる可能性があります。
家族にもかゆみや皮膚症状がみられる場合は、同様に診断を受けるようにしましょう。
まとめ

疥癬は、ヒゼンダニが皮膚に寄生することで起こる感染症です。
自然に治るのを待って放置すると、かゆみや皮膚症状が続くだけでなく、家族や周囲へ感染が広がる可能性があります。
疥癬の治療では、主に以下のような薬が使用されます。
・塗り薬:フェノトリン
どの薬を使用するかは、年齢や体重、疥癬の状態などによって異なります。
また治療後にもかゆみが残る場合があるため、症状だけを見て自己判断で薬を追加するのは避けましょう。
疥癬が疑われる場合は適切な診断を受け、治療薬を正しく使用することが大切です。
イベルメクチンの入手方法について詳しく知りたい方は、以下の記事で解説しています。

